今週も眠狂四郎

録画していた『眠狂四郎無頼剣』(1966年・大映/監督:三隈研次)を再見。シリーズ8作目で三隈研次としては3作目。

白昼、油問屋・弥彦屋(香川良介)に愛染(天知茂)という浪人が押し入り、土蔵から天然油を精製する方法を記した図面を持ち去ります。それは大阪で反乱を起こした大塩平八郎父子が考案したもの。大塩父子は、その権利を弥彦屋に高額で売りつけて貧民救済の資金にあてようとしたのですが、弥彦屋の裏切りにあって反乱は失敗。愛染は大塩平八郎の弟子で、江戸の町に大火を起こし、老中・水野忠邦の暗殺を計画。眠狂四郎市川雷蔵)は、死んだはずの大塩平八郎の息子に間違われたことから事件に巻きこまれていきます。

これまでの星川清司でなく、脚本は伊藤大輔。マンネリ打破のために原作を離れたオリジナルストーリーです。円月殺法眠狂四郎だけのものなのに、対決する愛染も円月殺法の使い手にしたことから、試写を見た原作者の柴田錬三郎は「これは俺の狂四郎ではない」と言ったとのこと。だけど、円月殺法VS円月殺法の発想がグッド。ニヒルな剣客の天知茂相手に、狂四郎は自分自身の影、鏡の中の自分と戦う感覚ね。陳孫のワカトミと愛染の天知は、狂四郎の雷蔵と互角に闘える実力ある相手役といえます。剣豪対剣豪のドラマにしたため、狂四郎を平八郎の息子と間違える越後獅子の娘役で藤村志保が彩をそえていますが、エロチズムの要素は希薄で~す。