週に一度は西部劇

DVDで『砂漠の流れ者』(1970年/監督:サム・ペキンパー)を再見。西部開拓時代も終わりの頃、砂漠を受け容れ続けた男の生涯をユーモラスに描いた物語。

灼熱の砂漠でケーブル・ホーグ(ジェースン・ロバーツ)は仲間のダガート(L・Q・ジョーンズ)とボーエン(ストローザ・マーチン)に水を奪われ置き去りにされます。4日4晩歩き続け、ひっくり返った場所で水を発見。そこは駅馬車の通る道から離れておらず、駅馬車の馭者(スリム・ピケンズ)から水があれば中継場所になることを教えられます。そして、説教師と名乗るジョシュア(デビッド・ワーナー)から給水所の所有権を勧められ、町へ行って有り金はたいて土地を登記。中継所建設のための資金提供を駅馬車会社の責任者に提案しますが、水があることを信用しません。銀行家はホーグを信用し、金を貸します。ジョシュアと泉を整備し休憩所を建設。駅馬車会社はホーグに料金を払って中継所として利用。町で知り合った娼婦ヒルディ(ステラ・スティーブンス)が町から追い出されて、ホーグと一緒に砂漠で暮らします。やがて、ジョシュアが人妻とできて、怒った亭主に命を狙われて去り、砂漠暮らしに退屈したヒルディはサンフランシスコへ。悠々自適な生活をおくっている時に、憎きダガートとボーエンが現れます。ホーグの金を奪おうとしますが、罠にはまり、ホーグはダガートを射殺。泣いて謝るボーエンを許した時、サンフランシスコで百万長者の後家となったヒルディが自動車でやってきます。坂を下りはじめた自動車を止めようとして、ホーグは轢かれ、アッサリあの世行き。

ワイルドバンチ』と同様にフロンティア時代から遅れてきた西部男の物語。文明の象徴である自動車に轢かれて死に、葬式にはジョシュアがオートバイに乗ってやってくるという皮肉な結末。『ワイルドバンチ』を完成させた後の息抜きのような作品で、『ワイルドバンチ』とは真逆のコミカルな抒情的な作品になっています。この作品では何と言ってもステラ・スティーブンスがグッド。町で風呂に入れてもらったお礼といった感じで、ホーグがヒルディを砂漠の泉から水をひいて作った風呂に入れて身体を洗ってやるシーンがあるのですが、二人の愛のテーマ「バタフライ・モーニング」をデュエットしている時に駅馬車が予定より早く到着します。あわてて裸で風呂からとび出すステラのコメディエンヌぶりに魅了されま~す。