週に一度は西部劇

DVDで『血と怒りの河』(1968年/監督:シルビオ・ナリツァーノ)を再見。メキシコの盗賊に育てられた白人の若者が盗賊の父親と対決するクールで哀愁ある西部劇。

メキシコの革命家に両親を殺され、ブルー(テレンス・スタンプ)は盗賊の首領オルテガ(リカルド・モンタルバン)にアスール(スペイン語で青)と名付けられ、実子のように可愛がられて育ちます。一味は国境を越えてアメリカの開拓村を襲撃。仲間が開拓村の娘ジョアンヌ(ジョアンナ・プティット)に乱暴しようとしたところをブルーは仲間を撃ち殺してジョアンヌを救出。しかし、逃げ遅れたブルーは負傷し、今度はジョアンヌに助けられます。彼女の父(カール・マルデン)は快く思いませんが、二人は愛し始め、開拓民としての生活を開始。ブルーが生活になじんできた頃、オルテガが現れます。ブルーは心ならずも開拓者たちと共に育ての親と戦わねばならなくなり、真の親子の愛を感じながら国境の河をはさんで対決。

オーソドックスな西部劇と比べるとかなり異色ですが、映像・音楽・演技が見事に調和した西部劇といえます。シルビオ・ナリッツァーノは、見事な構図でシネスコ画面いっぱいに素晴しい映像美を展開。マノス・ハジダキスの音楽は、ギターを中心としたギリシャ・メロディーが意外と効果をあげ、映画とマッチして、これまでの西部劇にない一味変ったもの。性格俳優のテレンス・スタンプは、抑えた演技でクールな持ち味を出していたし、主人公を愛するようになるジョアンナ・ペティットも、彼女が一番輝いていた頃の作品で、彼女の魅力があふれています。アメリカ人でもなく、メキシコ人でもなく、国境の河を漂いながら主人公が死んでいくラストシーンは哀愁感あふれ、西部劇というだけでなく、映画としての魅力あふれた作品となっていま〜す。