清順美学

nostalji2005-05-18

未見だった鈴木清順の『野獣の青春』(1963年・日活)と『関東無宿』(1963年・日活)を観る。
野獣の青春』のプロットはありふれたものですが、映像表現と登場人物のキャラクター設定、脚本の巧さで、類希なるハードボイルドの傑作になっています。冒頭のモノクロ画面からカラーに変わり、モノクロの背景に真っ赤な椿で彩るラストは清順美学ですね。キャバレーの事務所からマジックミラーを通して見るホールの状況、映画が映し出される映画館のスクリーン裏にある事務所でのアクションの面白さなど、映像的アイデアにあふれたシーンの連続は「素晴らしい」の一語につきま〜す。
関東無宿』は、義理人情の古風な任侠道と現実的なヤクザを対比させ、ストイックな生き方しかできない一人の侠客の姿を見事に浮かび上がらせていますね。アキラが賭場荒しのヤクザ二人を斬った瞬間、障子のバックが赤一色になる強烈な映像効果は、まさに清順美学の世界で〜す。