極東のチャンバラ映画

nostalji2005-09-17

戦前の、それもサイレント映画において、大衆から圧倒的支持を受けたのはチャンバラ映画でした。アメリカの西部劇と同じように、チャンバラ映画はプログラムピクチャーとして大量に製作されていました。極東はそういうプログラムピクチャー中心の映画会社でした。チャンバリスト永田哲朗氏の話によると、極東映画というのはセットもお粗末で、もっぱら野外ロケ専門。スターも軽量なら、傍役の層も薄い。内容だって講談ダネのムシ返しか子供だましの忍術がほとんどだったとか。当時のキネマ旬報には、紹介だけはされても“批評省略”であっさり片づけられていたそうです。画像は、5年前に古本屋で見つけた「チャンバラ王国 極東」(ワイズ出版
でもって、極東映画の『剣聖荒木又右衛門』(1935年/監督:仁科熊彦)を観ました。講談ネタの話が、次々と展開していきます。サイレントでセリフがないので、展開が早いんですね。主演の羅門光三郎以下、見事なチャンバラを見せてくれます。飛んだり跳ねたりと、動きにスピードがあるんですね。屋根にいる敵を跳び上がって斬り払うシーンは、見たことのない殺陣でした。批評の対象にならない作品ですが、チャンバラ映画の活気が満ち溢れていましたよ。