ドキュメント小説

nostalji2007-06-05

CDを聴きながら、大下英治:著の『美空ひばり不死鳥伝説』(廣済堂文庫:2001年2月1日初版発行)を読了。これは評伝でなく小説です。著者紹介にも記載されている通りドキュメント小説ですね。小説と評伝の違いは、客観的事実(推論であっても、その経緯が客観的事実で示されねばならない)に基づいて対象者の考えや人生が論述されるのが評伝であり、著者のイマジネーションによって語られるのが小説です。書き出しは、学校の校庭で小学3年生の美空ひばりが歌うのですが、ひばりの母親・喜美枝の心境が語られていまが、これは完全に著者のイマジネーションによるものです。評伝と違ってドラマチックな演出ができるメリットはありますが、読者が全てを事実と誤認する恐れがありますね。美空ひばりの人物像が文学的に深く掘り下げられているわけでなく、噂話を羅列したような娯楽伝記小説といえます。手軽に読めるのが取りえかな。