武士はサラリーマン

nostalji2009-07-30

録画していた『伊太郎獅子』(1955年・大映/監督:田坂勝彦)を観る。普請役についた旗本(長谷川一夫)が、上役の奉行(柳永二郎)や同僚たちの不正体質を怒り、酒席で斬りかかるのですが奉行に逃げられ、逆に奉行から追われることになるんですな。それで、渡世人に姿を変えて、奉行の不正の事実を知っているヤクザの親分を訪ねたら、すでに奉行の命令で敵対するヤクザによって殺されています。親分の娘(山本富士子)を助けて、悪いヤクザをやっつけた後、江戸に帰ると恩人が奉行の配下に殺され、奉行が横恋慕している恋人の芸者(木暮実千代)は奉行に拉致されており……
欲張りで、腹黒で、スケベーの悪党を、美女に慕われる正義の二枚目がやっつけるという、単純な時代劇です。ご都合主義的に証拠が見つかり、全てうまくいったと悪党たちが祝っている酒席に獅子舞姿で殴り込み、武士を捨ててヤクザとなって恋人と旅立つところでエンドとなります。武士=自由のきかぬサラリーマン、ヤクザ=自由人というのが当時の時代劇感覚でしたね。