風景が見事に融合

nostalji2010-05-11

録画していた『泥棒成金』(1955年/監督:アルフレッド・ヒッチコック)を観る。観たいと思いながら、何故か未見だった作品です。ヒッチコック研究書によると、ヒッチが常に心がけていた作品のテイストは、“エモーション”“ユーモア”“エレガンス”だったとのことで、この作品にもそれがよく表れています。
“エモーション”は、悠々自適の生活をしている猫と呼ばれた元泥棒の主人公(ケーリー・グラント)が、自分の手口を真似た宝石泥棒が出現したことから、ニセ猫退治に乗り出すキッカケね。ブリジット・オーベールがニセ猫となった動機も、主人公に対する“エモーション”といえます。
“ユーモア”は、金持ち夫人が煙草の火を目玉焼きで消すところや仮面舞踏会のダンスシーン、しゃれた会話の数々ね。そして、この映画の全てと言っていいのが“エレガンス”です。
風光明媚なリビエラを舞台に、美男のケーリー・グラントと美女のグレース・ケリーという顔合わせは最高ですよ。花火を背景にしたキス・シーンの見事さ。アクションやストーリーだけに興味を持っている人には物足らないかもしれませんが、優雅な気分に浸って観ると満足、満足です。
画像は、グレース・ケリー。ソフィスティケートされた美しさと、コメディタッチの演技は魅力満点でした。この作品に出た頃、女優を続けるか、結婚するか悩んでいたそうですが、女優を続けて欲しかったで〜す。