週に一度は西部劇

録画保存していた『太陽の果てに青春を』(1970年/監督:トニー・リチャードソン)を再見。19世紀のオーストラリアでその名を知られたアウトローの生涯を描いた実話映画です。先日観た『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』(2019年/監督:ジャスティン・ガーゼル)が西部劇とは程遠い演出をしていたので、同じ題材でもこの作品は西部劇を感じさせていたんでね。

馬泥棒の罪で3年間入獄していたネッド・ケリー(ミック・ジャガー)が家族のもとに帰ってきます。犯罪者の家系ということで、警官たちはネッドや弟のダン(アレン・ビックフォード)たち家族を目の敵にしており、警察署長のフィッツパトリック(マーティン・サンダースン)は警官殺害未遂事件でネッドの母(クラリッサ・ケイ)を逮捕。母の弁護費用を捻出するためにケリー兄弟と仲間たちは金鉱探しに山に入り、密造酒作りを始めます。しかし、彼らを看視していた警官を誤って射殺したことから事態は急速に悪化。お尋ね者となった彼らは、貧乏人から搾取していたイングランド人の銀行や地主を襲います。横暴な官憲に反感を持つ人々は彼らに味方し、ネッドはアイルランド共和国を作ることを夢みて……

モノクロの獄中のネッドの大写しから“THE END”の字幕がかぶさり、絞首刑が行われ、“THE BEGINNING”の字幕が出て色彩場面になるオープニングの演出が印象的。物語は、主人公や周囲の連中を謳うフォークソングを要所要所にかぶせながら展開します。荒々しい山河を背景に、粗野なユーモアを巧みに織り込んだリチャードソンの演出は西部劇タッチでグッドです。

画像は、シェル・シルヴァスタインが音楽を担当したサントラCDジャケット。ウェイロン・ジェニングス、クリス・クリストファーソンミック・ジャガーが歌うバラードは、シルヴァスタイン節というか、聴けばすぐにそうとわかる独特のもの。音楽を聴いているだけでも、西部劇の香りを感じま~す。