古典ホラー

nostalji2010-09-20

ビデオで『オペラの怪人』(1925年/監督:ルパート・ジュリアン)を再見。ビデオの題名は『オペラ座の怪人』となっていますが、このビデオが発売された1988年には、劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が評判になっていたからでしょうね。ガストン・ルルー原作のスリラーで、何度も映画化されていますが、衝撃度ではこの作品が最高です。
怪人の存在が囁かれているパリ・オペラ座の新人歌手クリスチーヌ(メリー・フィルビン)は、壁の中から聞こえてくる声に従い歌の才能をのばします。この声の主こそ怪人(ロン・チャニー)で、彼は彼女を地下の秘密の部屋に連れていきます。楽屋の鏡が秘密の通路の入口になっているんですな。怪人は仮面をつけており、彼女のために作った曲をオルガンで弾きます。クリスチーヌは怪人の顔が見たくなり、後ろから忍び寄り、そっとマスクを取ると、骸骨のようなグロテスクな顔が現れます。ロン・チャニーのこのメークは、雑誌の写真などで事前に知っていましたが、すっくと立ち上がって振り向いた時のショックは、伝説の衝撃シーンと云われるのが過言ではありませんでした。
クリスチーヌは歌に専念することを誓って地上へ戻されますが、仮面舞踏会で恋人に怪人のことを話してしまいます。それを怪人が聞いているんですな。真紅のマント(劇場公開では彩色されていたとのこと)をつけた死神の衣装で怪人は仮面舞踏会に現れるんですが、このビデオではモノクロのままでした。怪人はクリスチーヌを誘拐して、地下の隠れ家に逃げ込みますが、追ってきた恋人と刑事に彼女を奪い返され、暴徒に追いつめられてセーヌ河で最期をとげます。
79分の作品にしては登場人物が多く、それが巧く整理されていない欠点はありますが、サイレントならではの映像表現(ロン・チャニーの表情の凄さ、地下迷宮のセット)は、素晴らしいで〜す。