テレビで開花

nostalji2010-10-01

池内淳子(76歳)さん、アーサー・ペン監督(88歳)、トニー・カーチス(85歳)さんが亡くなる。
池内淳子さんは、1955年に新東宝映画でデビューし、清純女優で売出したのですが、人気女優となったのは、フジテレビ系列で1960年7月〜9月に放送されたテレビドラマ『日日の背信』でした。13時からの30分ドラマで主婦向けのメロドラマね。“昼メロ”として話題になり、30%近い視聴率だったそうです。高級着物をさらりと着こなす和服美人に、よろめき願望と羨望を持って主婦は引きつけられたのですな。新東宝社長の大蔵貢は、彼女のテレビ人気に腹を立て、『花嫁吸血魔』という作品で、彼女を毛むくじゃらの化物の扮装をさせたとか。実を言うと、私は新東宝時代の池内さんが好きなんですよ。1961年に新東宝が倒産して東宝に移り、その後の映画とテレビでの活躍は周知の通りですね。和服の似合う美人女優に合掌。
アーサー・ペン監督といえば、アメリカン・ニューシネマの原点となる『俺たちに明日はない』(1967年)が有名ですが、デビュー作の『左ききの拳銃』(1958年)からして異色作でしたね。ポール・ニューマンビリー・ザ・キッドは悩める青年といった感じで西部男らしいところがなく、ノイローゼ・ウエスタンなんて云われていました。私は、初見が『俺たちに明日はない』より後だったので、従来の西部劇とは全く異なる視点で、ペン監督らしい映画作りをしていると思いましたよ。ラストで主人公がニューシネマ的世界感で死んでいくところなんかね。独特の作風を持った名監督に合掌。
トニー・カーチスさんといえば、何故か広川太一郎の声が思い浮かびます。彼の映画の殆どを吹替えのテレビ洋画劇場で観ていたせいかもしれませんね。字幕版を観ても、声は広川太一郎をイメージしてしまいます。赤木圭一郎の愛称がトニーというのは、トニー・カーチスに似ていたとのことですが、イメージが違うなァ。昭和30年代のハリウッド美男スターに合掌。