死んだ真似でなく、坂上二郎(76歳)さんが亡くなる。笑いの意識革命といえるようなコント55号を初めて見た時はビックリしましたね。それまでの喋くり主体だった漫才やコントに動きが加わったんですから。サディスティックなまでにイビる欽ちゃんに対して、オドオドしながら小突きまわされる二郎さん。欽ちゃんの突っ込みの凄さが、二郎さんの受けの上手さで際立ち、抱腹絶倒でしたよ。コント55号の芸は、繰り返し演じることによって熟成していくものでなく、何が出てくるか予想がつかない面白さにありました。
コント55号の人気がピークに達したのは、1969年の『コント55号!裏番組をブッ飛ばせ』でしたね。当時、日曜8時台はNHK大河が絶対的強さをみせていましたが、視聴率で追い抜いたんです。番組最後のコーナーで行なわれる、野球拳は大評判(低俗性で)となりました。二郎さんが、ゲストの女性タレントとジャンケンをして、負けた方が身につけているものを一枚ずつ脱いでいくのね。女性の脱いだものは、会場でセリにかけてチャリティーにします。低俗であっても、下品にならなかったのは、二郎さんのキャラのお陰だったと思いますよ。画像は、『裏番組をブッ飛ばせ』の二郎さん。
コント55号解体後の二郎さんといえば、やっぱり『荒野の素浪人』のスッポンの次郎吉になりますかね。三船敏郎を相手に、とぼけた味わいを出していましたねェ。すぐれたお笑い芸人が、また一人逝ってしまった……