見比べたくて

nostalji2011-04-29

録画していた『ハイ・シェラ』(1941年/監督:ラオール・ウォルシュ)を観る。特赦で出所したロイ(ハンフリー・ボガート)は、昔の銀行強盗仲間のマックが計画したリゾートホテルの金庫破りを請負う。マックが指定した別荘でマリー(アイダ・ルピノ)という女に会う。彼女はマックが集めた二人の男の連れだった。ロイはマリーを追い出そうとするが、哀願され気が変わる。マックと打合せするためにロスに行く途中で、ロイはベルマ(ジョン・レスリー)という娘に好意を抱き、足の治療にかかる費用の面倒をみる。しかし、ベルマには婚約者がおり……
ハンフリー・ボガート初主演作品です。1930年代までのボガートは凄みを持った傍役で、スターでなかったのですが、『汚れた顔の天使』(1938年)あたりからジェームズ・キャグニーと同格に近い存在感を持ってきました。もう二枚目の時代じゃないという映画会社(ワーナー)の方針もあって、ボガートにスポットライトがあたり主役に起用されたようです。アイダ・ルピノがクレジットのトップになっていますが、ルピノのワーナー移籍直後の作品で、会社としてはボガートより上の扱いだったんですね。次作の『マルタの鷹』の大ヒットにより、スターシステムにのってボガートの主演作が次々に作られていきました。画像は、ハンフリー・ボガートアイダ・ルピノ
古い西部劇ファンにとって、この作品が注目されるのは、あの名作『死の谷』(1949年/監督:ラオール・ウォルシュ)が、この作品を西部劇に翻案したものということです。『死の谷』と比べると、この作品は、かなり見劣りがしますね。マリーがロイに見せる情念の描き方も中途半端だし、ベルマの扱いも中途半端、主人公の最期も物足らなさを感じます。ラオール・ウォルシュはこの作品の不満だったところを解消したくて、西部劇でリメイクしたんじゃなかなァ。