香港ノワール

nostalji2011-06-12

録画していた『エレクション』(2005年/監督:ジョニー・トー)を観る。香港の黒社会を扱ったギャング映画です。裏社会の会長を決める選挙が行われることになり、候補者が二人いるんですな。一人は常識的親分のロク(サイモン・ヤム)で、もう一人は野望むきだしの武闘派親分のディー(レオン・カーフェイ)です。ディーは買収工作を行いますが、長老幹部の意見によってロクが会長に選ばれます。ディーは会長のシンボルである竜頭棍を、現会長がロクに渡す前に奪って新組織を作ろうと考えます。裏社会の内部抗争が市民社会をおびやかすと考えた香港警察は、長老・ロク・ディーを逮捕しますが……
香港ギャング映画といえば派手な銃撃戦を想像しますが、この作品はリアリズムに徹して射合いは殆どありません。敵対していた両派が損得勘定から手を結んだりと、極めて現実的なんです。竜頭棍を奪おうとボコボコに殴りあっていた二人のヤクザが、携帯が同時になって、互いのボスからの連絡ですぐに仲直りするのには笑いましたね。だけど、“権力と結ばれるのは一人だけ”で、ラストは予想通り(殺し方には驚きましたが)ね。派手なシーンがないのでアクション映画としての面白みには欠けますが、全体的に緊張感があって楽しめました。
江戸川乱歩全集第8巻の『大暗室』を読了。東京の地下に、怪奇と恐怖の地底王国を作った犯罪者の物語。裸の美女をはべらせ、人面獣身の怪物を囲い、仮面の家来を従えるという荒唐無稽の世界ですが、私はこの手の話が大好きなので〜す。