ピンボケ作品

nostalji2011-08-14

録画していた『魔性の夏 四谷怪談より』(1981年・松竹/監督:蜷川幸雄)を観る。お盆といえば怪談映画。怪談映画といえば“四谷怪談”となるのですが、これまで色々な“四谷怪談”を観てきましたが、これは出来の悪い部類になります。
伊右衛門萩原健一)が藩金横領の旧悪を妻・お岩(高橋恵子)の父・四谷左門(鈴木瑞穂)に脅されて殺し、お岩の妹・お袖(夏目雅子)に恋慕している直助(石橋蓮司)がお袖の夫・与茂七(勝野洋)と間違って仲間の侍を殺して、二人が何食わぬ顔でお岩とお袖に仇を討ってやると言うんですが、伊右衛門と直助の悪党コンビが今イチなんですよね。ふてぶてしさが足りません。
伊右衛門に恋こがれるお梅(森下愛子)と一緒になるために、お岩に毒薬を飲ませ、お岩の顔が崩れていくところからが恐怖の見せ場とならなきゃいけないのですが、全然怖くないんですよ。メーキャップもよくないのですが、それ以上にお岩の怨みの情念が伝わってこないのが要因ですね。旅から帰ってきた与茂七が直助を斬るのですが、その時、誤ってお袖までも斬ってしまいます。そして最後は、与茂七と伊右衛門が斬りあい、相打ちで二人とも死んでしまいます。何じゃ、これは、というラストで、不満だけが残ります。せっかく個性的な役者を揃えても、中途半端な(ユーモアになっていない)笑いをいれた脚本がよくないで〜す。
画像は、お袖の夏目雅子。お岩の飲んだ毒薬をお袖も飲んで顔が崩れるのね。あまり意味のない演出でした。