どれから観ようか

nostalji2011-11-20

録画していた『座頭市物語』(1962年・大映/監督:三隅研次)を再見。カツシンの映画“座頭市”は全部で26本あり、これは第1作目です。子母沢寛が『ふところ手帖』という彼の随筆集に「飯岡の助五郎のところにいた盲目の居合い斬り」について2〜3行書いただけのものを、犬塚稔が膨らましてシナリオにしました。座頭市のキャラは犬塚稔が創りだしたもので、実質は犬塚稔の原作といっても過言ではないでしょう。
第1作の特徴は、盲目を強調していることですね。聴覚・臭覚・触覚を全面に押し出していることです。カツシンの演技と三隅の演出が絶妙で、シリアスで差別に対する批判精神も込められていました。それと第1作では、座頭市にスーパーマン的強さはありません。本作で斬った人数はたった3人です。笹川の繁蔵の子分2人と食客の平手造酒(天知茂)ね。繁蔵の子分2人とは、提灯を消して盲目に有利な闇の中での戦いだし、造酒は市に斬られようと思っていたところがありますからね。市が労咳の平手造酒と人間的にふれあうところは味わいがあって、この作品の価値を高めていますよ。
市がワラジを脱いだ飯岡も、平手造酒を食客にしている笹川も、私利にはしるヤクザにすぎず、市と造酒はヤクザの喧嘩に巻き込まれて斬り合うつもりはなかったのですが、造酒が喀血して病床についたことを知った飯岡の助五郎(柳永二郎)が喧嘩を仕掛けるんですな。笹川の繁蔵が鉄砲で市を殺そうとするのを制して、血を吐く身体で飯岡との喧嘩に参加します。市がいなくても喧嘩に勝てると考えた助五郎が、助っ人料が惜しくて市を追いだしたことも知らずにね。造酒を訪ねた市は、彼が友情のために死を決して喧嘩に加わったことを知ります。血を吐きながら斬りまくる造酒の前に市が現れ、市との決闘で造酒は死に場所を得るのです。カツシンも良かったけど、天知茂も良かったよォ。