本日も

nostalji2012-08-21

古いキネマ旬報(1962年6月下旬号)をながめる。表紙の人は、エバ・マリー・セイントです。さして美人ではありませんが、『北々西に進路を取れ』で見せた完成された上品な色気が独特なムードを持っていました。大きな特集はなく、“アメリカにおける日本映画”が興味をひく程度。当時ロサンゼルスに邦画劇場が6館あったなんて知りませんでした。居住する邦人は4万人だったとのこと。
日本未公開の西部劇DVD『Ride Lonesome』(1959年/監督:バッド・ベティカー)を観る。殺人犯(ジェームズ・ベスト)を捕まえた賞金稼ぎ(ランドルフ・スコット)が、駅馬車中継所で一緒になった賞金稼ぎ(パーネル・ロバーツ)とその相棒(ジェームズ・コバーン)、そしてインディアンに夫を殺された中継所の妻(カレン・スティール)とインディアンの襲撃をかわし、弟を取り返しにきた殺人犯の兄(リー・ヴァン・クリーフ)と対決する物語です。
スコットの目的は賞金でなく、妻を殺したクリーフをおびきだし、妻が殺された場所で、妻が殺されたのと同じ状況で復讐するというのが面白い設定でしたね。ラストの対決まで、インディアンに襲われて皆殺しにされた駅馬車の暴走あり、インディアンの襲撃あり、賞金犯のベストを横取りしようと考えているロバーツとコバーンの暗躍あり、ベストがライフルを奪って脱走しようとしたりと、お膳立てを揃えて手際よく展開していきます。協力しあってピンチをしのいできたロバ−ツに賞金犯をゆずり、独り立ち去るスコットの孤高のガンマンぶりはグッドです。脚本がバート・ケネディなので、『七人の無頼漢』と似たような筋立てになっていますが、ロングショットを多用したベティカーの演出は映像美に優れ、上出来の西部劇といえま〜す。