めざすは遠い夢の国

nostalji2012-08-30

録画保存していた『風雲黒潮丸(三部作)』(1956年・東映)を観る。九州・肥後の千束島の豪族・南原勝家(徳大寺伸)は小西行長の秘命を受けて行長の子・夢若丸(伏見扇太郎)を自分の子として育てています。関ヶ原の合戦で小西家は滅亡、加藤家に滅ぼされた堀家の息女・小夜姫(丘さとみ)が千束島に逃れてきます。加藤家の追手に捕まった小夜姫救出に向かった勝家と夢若丸の留守に、海賊・悪ノ兵衛(阿部九州男)が屋敷を襲い勝家の妻・かえでが誘拐されます。かえで救出のために兵衛の隠れ家・ひよどり島に勝家と夢若丸が乗り込みますが、夢若丸は鉄砲で撃たれて海中へ。ここまでが第一部ね。
夢若丸は小萩と勘太(山手宏)の姉弟に助けられ、勝家は島主・不知火姫(三笠博子)に助けられ、兵衛は不知火姫によって追放されます。千束島に帰った夢若丸たちでしたが、島は加藤家に没収され、一族はひよどり島に立ち退くことになります。一足早く島を出た勝家夫婦は海賊・夜叉丸(清川荘司)と悪ノ兵衛に捕まります。夢若丸が勝家を救出しますが、かえでは人買いに売られた後ね。勘太と愛犬クロがかえでを助け出し、泉州屋(小田部通麿)の提案で海外雄飛のためにオランダ人ルシアノ(吉田義夫)が設計した黒潮丸の建造が始まります。資金は小西行長がひよどり島に隠した黄金ね。兵衛からひよどり島の黄金のことを聞いた長崎・樺島の村上義正(永田靖)は、手下をひよどり島に向かわせ小夜姫を誘拐します。小夜姫救出に勝家と夢若丸、それに義正に父を殺された不知火姫が加わり、一族を率いて出陣するところで、第二部は終わりね。
完結編「南海の若武者」は、夢若丸たちが大嵐にあって遭難し、島原のキリシタン豪族・高島左近に助けられます。傷が治った夢若丸は樺島に向かい小夜姫を救出しますが、義正たちは入れ違いにひよどり島を襲っており、島を支配し、黄金を探します。夢若丸はひよどり島に帰って最後の決戦に……
ニッポン放送の子供向けラジオドラマ(海外雄飛を夢見る主人公の少年にロマンをかきたてられました)の映画化で、一部と二部を深田金之助が、三部を伊賀山正光が監督しています。“夏休みの良い子に贈る絶対面白い日本一活劇少年版!”と惹句にあるように、一部は8月8日に、二部は1週あいて22日に公開されています。ちなみに三部は10月17日公開ね。
ピンチと脱出が繰り返される連続活劇のために、都合よく救出に行けるように未来を夢で予知する能力を夢若丸が持っていたり、敵に囲まれても一瞬のうちに敵の目を眩ます飛竜の術を不知火姫が持っていたり、人食い鮫を自由に操る怪人物まだら狼が味方にいたりと、わかりやすい設定になっています。最近のマセた子どもだとバカにするかもしれませんが、当時の子どもたちには憧れキャラですよ。このような子ども向けチャンバラ映画で時代劇好きな少年が育っていったので〜す。