やっとのことで

nostalji2013-02-22

定期健康診査の待ち時間に読みかけだった城山三郎:著の『秀吉と武吉』(朝日新聞社:1986年3月31日第7刷発行)を読了。村上水軍を率いた海賊総大将・村上武吉の79年の生涯を描いた歴史小説です。毛利元就陶晴賢を討ち取った厳島の合戦で毛利に味方するところからから始まり、関ケ原の合戦で西軍についたために本拠地の能島を失い周防の屋代島で生涯を終えるまでを、瀬戸内の海で自由に生きようとする武吉と、権力によって全てを手中に収めようとする豊臣秀吉の生き方を対比して描いています。フィクションと違って史実に合わせた展開なので盛り上がりに欠け、読んでいて退屈しましたが、村上水軍の実態がわかって満足です。
録画していたドキュメンタリー『赤狩りアカデミー賞』を観る。仲間を裏切って名作を撮ることができたエリア・カザンと、仲間を守って名前を出すことができなくなったドルトン・トランボの映画人生の光と影を追っています。トランボは、『ローマの休日』の脚本が友人の名を借りたものであることが1993年に公表されて名誉回復し、アカデミーはトランボにオスカー像を授与しました。カザンは1998年のアカデミー賞で映画に貢献したということでアカデミー名誉賞を受賞しましたが、会場にいた半数の映画関係者は非難の目をむけていました。「アカデミーはカザンの作品に名誉をあたえても、人生に名誉をあたえるべきでない」と言う意見に私は賛成です。しかし、カザンの苦悩が、『波止場』や『エデンの東』に反映されて名作になったというのも納得。