梶原一騎の世界

nostalji2013-02-25

『チャンピオン太』(吉田竜夫:画、梶原一騎:作)の第5巻を読了。古武術(忍者・拳法・柔術など)の紅吹雪一族が力道山一門と対決します。遠藤・吉村・馬場が敗れますが、頭領である紅吹雪親子と力道山・太がタッグで闘い、敵の弱点をついて勝利ね。次なる敵は、技のうまさと怪力にかけては並ぶものはないというビッグスターと悪役王といわれる覆面レスラーのブラックバット。太はビッグスターに大空中がためを破られますが、新必殺技・人間水爆でブラックバットを破ります。ブラックバットはビッグスターが覆面をつけていたのね。素顔の時は正統派レスラーで覆面をつけると悪役というのはビル・ミラーがモデルかな。そして最後は、世界ライトヘビー級チャンピオンのグレートZを倒して世界タイトルを手に入れるのです。
梶原一騎はこの作品でマンガの原作者として名が知られるようになりました。主人公が母子家庭に育った貧しい少年、恋人が孤児の面倒をみている少女で、主人公も少女の孤児院の世話をするというのは、後年の『タイガーマスク』に継がっていますね。タイガーマスクはプロレスラー相手だけでしたが、この作品では太は柔道・キックボクシング・拳法など異種格闘技とも闘います。梶原一騎アントニオ猪木異種格闘技戦を仕掛けたことでも有名ですが、この頃から夢に描いていたのですかね。
それと、梶原一騎の特色である、架空の選手と実在の選手をうまく融和させ、肉体的ハンデを克服するために必殺技を編み出すがそれが破られ、さらに新しい技を開発していくという展開が繰り返される構成は、この作品から始まっています。ただ、主人公が最後に散る結末でなく、ハッピーエンドになっているのは、時代がそれを要求しなかったのでしょう。この作品が梶原作品の原点であることは間違いありませ〜ん。