策は弄せず

nostalji2013-04-23

録画保存していた『宮本武蔵/決闘巌流島』(1956年・東宝/監督:稲垣浩)を観る。宝蔵院の阿厳(上田吉二郎)を破った武蔵(三船敏郎)は江戸に出てきます。細川家への仕官のために小次郎(鶴田浩二)も江戸にきており、武蔵と出会います。小次郎は武蔵に決闘を申込みますが、武蔵は1年後の約定をして法典ヶ原でお通(八千草薫)と農耕生活。朱美(岡田茉莉子)も小次郎から武蔵の居所をきき法典ヶ原に向かいますが、途中で野盗になっていた祇園藤次(加東大介)に捕まります。野盗の首領は武蔵が関ケ原で打ち殺した辻風典馬の兄・黄平(富田仲三郎)で、朱美を使って武蔵を討とうと図るのね。武蔵と会った朱美は、武蔵の心がお通にあることを知り、野盗たちを手引きしますが、黄平は武蔵に斬られます。お通を人質にして逃げようとする藤次を朱美は刺し殺しますが、朱美も藤次に斬られて死にます。朱美を葬った武蔵に、小次郎から舟島で試合をしたいという手紙が届き……
小次郎が水辺で燕を斬るシーンから始まり、武蔵と同様に剣に生きる立派な剣士として描いています。稲垣浩村上元三の『佐々木小次郎』を二度映画化(大谷友右衛門尾上菊之助))しており、小次郎に対する思い入れが強かったのでしょうね。武蔵も勝つだけが剣の道ではないと悟り、巌流島の決闘には遅れて行くこともせず、「小次郎、敗れたり」のセリフもありません。一瞬で勝負が決まるのでなく、互いに斬りむすび、昇ってきた太陽の光を小次郎がまともに浴びて敗れるんですな。勝負に悔いなく、微笑しながら死んでゆく小次郎の顔に哀愁があり、名シーンといえま〜す。