懐かしい顔が

nostalji2013-09-02

西部劇DVDの『復讐の荒野』(1950年/監督:アンソニー・マン)を観る。ニューメキシコに“ヒューリーズ”と呼ばれる大牧場があり、牧場主T・C・ジェフォーズ(ウォルター・ヒューストン)の娘ヴァンス(バーバラ・スタンウィック)は男勝りで自尊心の強い女性。父が土地を奪った牧場主の息子で今は実業家となっているリップ(ウエンデル・コーリー)と知りあったヴァンスは彼と恋仲となり結婚を考えますが、リップは父から金を渡されてヴァンスと別れてしまいます。ある日、父がフロレンスという女性を連れて帰り、後妻として紹介するのね。フロレンスが父の財産目当てだとわかり、ヴァンスはフロレンスの顔をハサミで傷つけ、相談相手であるメキシコ人のファニート(ギルバート・ローランド)のもとに身をよせます。怒ったジェフォーズがファニートを不法居住者として縛り首にしたことから、リップと組んで父親への復讐に……
劇場未公開の西部劇です。派手な撃ちあいもなく。内容が骨肉相争う家族の暗い物語だったので配給会社が敬遠したんでしょうね。従来の西部劇に登場するような意志通りの行動する枠にはまった人物でなく、この作品に登場する人物の心は常に揺れ動いており、その衝動的な行動には当時の観客は抵抗があったと思いますよ。特にヴァンスが父の後妻の顔にハサミを投げつけるところはね。バーバラ・スタンウィックの演技と、これが遺作となったウォルター・ヒューストンの演技は画面から目が離されません。人間の心の暗闇、冷たさをローキー撮影により表現したアンソニー・マンの演出は見事。西部劇としての面白みはありませんが、西部を舞台にした人間ドラマの面白さを感じました。
画像は、B・スタンウィックの弟役で出演していたジョン・ブロムフィールド。J・ブロムフィールドといえば、テレビ創生期の現代西部劇『モーガン警部』(1958年日本テレビ系列で放映)ね。大人気ドラマとなり、東映がJ・ブロムフィールドを招いて、鶴田浩二と共演で『モーガン警部と謎の男』(1961年/監督:関川秀雄)という映画を作ったくらいで〜す。