ビデオに録画保存していた西部劇『さらばバルデス』(1973年/監督:ジョン・スタージェス)を観る。独りで野生馬の調教をして暮らしているチノ・バルデス(チャールズ・ブロンソン)の家に、これまた独りで旅をしている少年ジェミー(ヴィンセント・ヴァン・パテン)が立ち寄ります。二人は何となく気が合い、チノはジェミーの面倒をみるようになるのね。チノは町で知りあった大牧場主(マルセル・ポジフィ)の妹ルイーズ(ジル・アイアランド)と恋仲になりますが、身分違いの恋は許されません。土地を巡る諍いもあって、大牧場主はチノを敵対するようになり……
製作はイタリアのディーノ・デ・ラウレンティス、撮影・音楽はイタリア人で、キャストもブロンソンとジルを除くとヨーロッパ俳優、ロケもヨーロッパでしており分類上はマカロニ西部劇になっています。だけど内容はモロ本場の西部劇。野生馬の群れの映像、少年との交情、インディアンとの触れあいなど、アクション派で成らしたこれまでのジョン・スタージェスとは違うタッチで、ほのぼのとした静かなムードが漂っています。それでも銃撃シーンは用意されていて、リンチされた上、可愛がっていた子馬を殺されたチノが、牧場主の部下と射ち合い、一人また一人と倒していくのね。だけど、戦いの虚しさを悟ったのか、チノは土地を去るといって戦闘を中止します。牧場主も納得して黙って見送るんですが、マカロニなら半沢直樹風に倍返しだろう。土地に柵が立てられ、野生馬のように自由に生きられなくなった男の哀愁を描きたかったのかもしれませんが、消化不良でスッキリしませ〜ん。