録画していた西部劇『OK牧場の決斗』(1956年/監督:ジョン・スタージェス)を再見。ワイアット・アープがクラントン一家とOKコラルで対決した西部史上有名な事件を描いた作品です。
フランキー・レインが歌う主題歌が流れ、馬で行くリー・ヴァン・クリーフたち3人の無法者がロングで映し出されるタイトル映像を見ただけでワクワクします。彼らの行き先はフォート・グリフィンの町。クリーフはドク・ホリデイ(カーク・ダグラス)の命を狙っています。クリーフがブーツにデリンジャーを隠し持っていることを、たまたま無法者のアイク・クラントン(ライル・ベトガー)とジョニー・リンゴー(ジョン・アイアランド)を追って町にやってきたワイアット・アープ(バート・ランカスター)が見つけ、ドクに教えてやるんですな。酒場で鏡に映るクリーフを見ていたドクが、クリーフが銃を抜くのを見るや振り向きざまナイフを投げて倒します。あまりの素早さに、ダグラスがどこからナイフを投げる(どこに隠し持っていた)のか、西部劇仲間の間で話題になったことがあるんですよ。
ジョン・スタージェスは、フォート・グリフィンでのアープとドクの出会いから、ダッチシティでのシャンハイ・ピアス(テッド・デ・コルシア)との対決、トゥームストンでのOKコラルの決闘まで、アープとドクの友情、ドクと愛人ケイト(ジョー・ヴァン・フリート)の腐れ縁、アープと女賭博師ローラ(ロンダ・フレミング)との恋情を絡めながら、アープ伝説を描いています。スタージェスはローアングルを多用し、構図に工夫を凝らしており、映像演出は見事です。
ところで、コラルは家畜の囲い場(移動させてきた牛や馬を一時的に停めておく場所)のことで、牧場ではありません。西部劇ファンでなくても“OK牧場”を耳にしているくらい一般的になっているのは、この作品の題名によるインパクトが大きかったからだと思われます。実際のOKコラルの決闘は、この作品のように長々撃ちあうのでなく、瞬時に終わっているのですが、当時としては見せ場を長くしないと客は満足しなかったんでしょうね。そういう意味で、1950年代の王道西部劇といえま〜す。