金をかけただけに

nostalji2014-03-22

録画していた時代劇『宮本武蔵一乗寺の決斗』(1964年/監督:内田吐夢)を再見。吉岡清十郎江原真二郎)に勝った武蔵(中村錦之助)は、本阿弥光悦千田是也)と母・妙秀(東山千栄子)と知りあい、光悦の屋敷に逗留します。光悦に誘われて廓に行く途中で吉岡伝七郎平幹二朗)からの果し状を受け取った武蔵は、宴席を途中で抜け出し三十三間堂へ。一撃で伝七郎を切り倒した武蔵を迎えた吉野太夫(岩崎可根子)は武蔵の精神状態を見透かし、やさしく諭します。廓を出た武蔵を待っていたのは吉岡一門からの果し状で、一乗寺下り松での73対1の決闘へ……
モノクロで映し出される東映大道具が力を結集した一乗寺下り松の景観が凄いです。巨大な下り松が必要だってんで、作っちゃうんですからね。第一部の千年杉もそうでしたが、CGでは表現できない質感があります。泥田のぬかるみも作ったもの。夜明けの光に反射して輝きます。撮影も決闘の時刻に合わせて行われたため、100カットにも及ぶ決闘シーンを完成させるのに1ケ月もかかりました。一乗寺下り松もさることながら、職人たちの作業場がある光悦の屋敷セットも凄いですよ。わずか2〜3シーンだけのために広大なセットを作っています。この作品に金をかけすぎたために、最終作『宮本武蔵・厳流島の決斗』では、予算が大幅に削られたとのこと。金をかけただけに、シリーズの中でも見応えのある作品になっていま〜す。