国威発揚映画

nostalji2015-05-19

西部劇DVDの『立ち上がる米国』(1932年/監督:ウィリアム・A・ウェルマン)を観る。1873年西部開拓期から1929年の大恐慌までを描いた銀行家の一代記です。
銀行員のロジャー(リチャード・ディックス)はオーナーの娘キャロライン(アン・ハーディング)と愛しあっていますが、オーナーのゆるしがもらえません。しかし、経済恐慌が起こってオーナーの銀行は倒産し、ショックでオーナーは死亡。ロジャーとキャロラインは結婚し、新天地を目ざしてネブラスカのフォートアレンにやって来ます。町を襲った無法者集団を捕えるために自警団結成を呼び掛けたロジャーは町の住民の信用を得て銀行設立。息子と娘が生まれ、町の発展を促す鉄道招聘にも成功し、順風満帆な時を過ごしますが、息子が鉄道事故で死にます。銀行は大きくなり、娘は結婚。しかし、またもや恐慌が起こり、銀行に多大な損失を与えた婿は孫(男子)が生まれた日に自殺します。映画を観てパイロットに憧れた孫(リチャード・ディックスの二役)は第一次世界大戦に出征し、空の英雄となって凱旋。ロジャーは孫に銀行実務を任せますが、世界大恐慌がおこり……
大恐慌で生活が苦しい当時の米国民に対して、どんなに恐慌が起きても国民は立ち上がり、以前よりも成長していくというメッセージになっています。“人間万事塞翁が馬”の人生を86分にまとめたのはウェルマンの手腕ですな。その分、人間ドラマとしての重みはありませんけどね。英雄ステロタイプリチャード・ディックスに対してコメディリリーフエドナ・メイ・オリヴァーの演技が光っていました。画像は、リチャード・ディックスとアン・ハーディング。