ポパイはスーパーヒーロー

nostalji2015-09-26

本日の朝刊朝日の別刷beの『サザエさんをさがして』のテーマは“ポパイ”。ポパイはアニメ世界で最初のスーパーヒーローですな。小野耕世氏が語っているように、エルシー・クライスラー・シーガーが描くマンガ『シンプル・シアター』で1929年に初めて登場します。このマンガは1919年からニューヨーク・ジャーナル新聞に連載され、当初はハロルド・ハムと彼のガールフレンドのオリーブ・オイル、彼女の兄のカスター・オイルが主人公でした。ポパイよりも10年も前にオリーブが創造されていて、他の人物の恋人だったのね。ところが、セイラー服に水兵帽、腕に錨の刺青、口にはいつもパイプというスタイルで、殺しても死なないポパイが登場するや圧倒的人気者となり、いつのまにかポパイがオリーブの恋人になりました。マンガのタイトルも『ポパイ』になり、ハム君は何処かへ消えちゃった。
ポパイといえばホウレン草。コテンパンに殴られ土中深く埋められようとも、カエルのようにペシャンコにされようとも、ホウレン草を食べれば元気百倍、パイプで空を飛び、大砲の弾丸をはね返し、山だって動かしてしまいます。「アメリカの子供たちはホウレン草が嫌いだから、それを食べさせるのが目的で、ホウレン草会社のコマーシャル用にポパイが創られた」という通説がありますが、前述の小野耕世氏によると、ポパイがヒットしたのでホウレン草の消費量が伸びたのであって、ホウレン草のPRのためにポパイが生まれたのではないとのこと。
シーガーのマンガは1933年にアニメ化されます。アニメ化したのはマックスとデイブのフライシャー兄弟。アニメ化されたポパイはさらに有名になり、フライシャー・プロは108本の『ポパイ』を製作します。しかし、長編アニメ『ガリバー旅行記』の失敗により1941年にフライシャー・プロは解散し、フェイマス・プロが権利を得て映画だけでなくテレビ用に『ポパイ』を製作しました。
私がポパイを知ったのは、もちろんテレビね。TBS系列で1959年5月からスタートし、5年以上続きました。日曜夜7時30分から8時までは、強力な裏番組がない限り、たいてい『ポパイ』を観ていました。スポンサーはお菓子の不二家。ポパイがホウレン草の缶詰を握りつぶし、空中に飛んだ中身を口で受けとめるのと同様に、ポコちゃんがミルキーキャラメルの箱を握りつぶし、空中に飛んだキャラメルを口で受けとめるや百人力になるCMを憶えていますよ。テーマソングまで♪〜ペコちゃんポコちゃんと同んなじね〜
ポパイといえば髭モジャの大男ブルート(正しくはブルータス)が宿敵。ポパイの恋人オリーブに横恋慕しては、最後にはホウレン草を食べたポパイに散々にやっつけられます。オリーブといえば、背の高いやせっぽちで美人とはいえない女性ですが、ひと目見ただけでブルートの目がハートになるのね。当時、やせて背の高い女の子のあだ名はたいていオリーブでしたな。
ハンバーガーが大好物のウィンピーも忘れられないキャラ。ハンバーガーを買うために、いつもポパイに小銭をねだっていました。当時は日本のどこにもハンバーガーを売っていなかったので興味惹かれる食べ物でした。ちなみに、日本のハンバーガーショップ第1号店は1971年7月に銀座三越に開店したマクドナルド。
赤ちゃんのスウィーピーや犬によく似た四次元動物のジープなど、登場人物のキャラが豊富なのも『ポパイ』の魅力でした。♪〜ポパイ・ザ・セイラーマン、ポッポー〜