名前だけは知っていても

nostalji2016-03-27

増田俊也:著の『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上下巻)』(新潮文庫:2014年3月1日発行)を読了。書評などで以前から興味を惹いていたノンフィクションで、ブックオフにあったのでゲット。文庫本上下巻で1150ページを越える文量に圧倒されましたが、読み始めたら止まらなくなりました。
木村政彦は、「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし」といわれた柔道王でしたが、私がその名を知ったのは戦後生まれの人のご多分にもれず、力道山に惨敗をきっしたプロレスの試合でした。著者は膨大なデーターと取材から、木村政彦の強さを証明し、力道山に敗れた原因を追っていきます。敗れた原因には諸説ありますが、この本を読んで私は木村が武道家としてのストイック性を失ったからだと思いました。いくら台本があるといっても稽古もせずに練習不足のまま、前夜には酒を飲み、それでリングに上がるなんて武道家としての心構えを忘れていますよ。力道山が木村がセメントでくるのを恐れて準備していたのに対し、木村はあまりに無防備です。途中まで段取り通りのプロレスをしていた力道山ですが、木村の動きを見て、木村を不意打ちして勝てると思ったでしょうね。
それにしても柔道を武道としてとらえるか、スポーツとしてとらえるか、考えさせられる一冊でした。
本日、帰京しま〜す。