最後に

nostalji2016-12-24

友人に送ってもらった東映時代劇『若さま侍捕物帖・お化粧蜘蛛』(1962年/監督:松田定次&松村昌治)を観る。シリーズ最終作です。
半年前に密貿易の仲間の肥前屋(香川良介)を殺害して深川新地を支配するようになった唐津屋(山形勲)と越前屋(佐藤慶)は、旧悪の証拠であるお化粧蜘蛛の割符をネタに肥前屋の情婦だった文字春(久保菜穂子)に揺すられています。島帰りの三次(徳大寺伸)は唐津屋に頼まれて文字春の家から割符を盗みますが、何者かが三次を殺害。唐津屋たちの悪事の調査にきた岡っ引・遠州屋小吉(田中春男)は、唐津屋の子分・夜桜の辰(松方弘樹)に吊し上げられ危ういところを若さま(大川橋蔵)に助けられます。若さまはゴロツキのふぐ寅(南道郎)や河童政(原健策)たちにからまれている門付けのお千代(松島トモ子)や易者の三郎左(柳屋金語楼)を助け、居酒屋が預かっていた三次の赤ん坊を船宿・喜仙に連れ帰ってお糸(桜町弘子)に預けます。唐津屋が雇った剣客(戸上城太郎)たちが若さまを襲いますが撃退。若さまは三郎左の娘・美音(佐久間良子)から、三郎左が肥前屋殺しを調べていた元与力で、唐津屋から賂を受けていた側用人・白石淡路守(北竜二)のためにクビになったことを聞かされます。三次の赤ん坊の着物から割符が見つかり、お千代が肥前屋殺しを目撃していたこともわかり……
一定の間隔で大川橋蔵のカッコ良さを見せ、最後は大立ち回りで締めるというスター主義時代の型通りの東映時代劇です。1962年といえば、東宝が『用心棒』と『椿三十郎』で、大映が『忍びの者』と『座頭市』で時代劇の新しい波を起こしており、東映時代劇は旧態然としたものになっていました。だけど、現在の視点でみると型通りの心地よさがあって、私は好きだなァ。リアルさだけが時代劇じゃないよォ。