千恵蔵関連で

nostalji2017-04-21

録画していた東映時代劇『維新の篝火』(1961年/監督:松田定次)を観る。池波正太郎の短編小説が原作で、土方歳三の恋の苦悩を描いた異色時代劇です。
池田屋事変で名をあげた新選組の副長・土方歳三片岡千恵蔵)は2人の長州浪士に襲われますが、逆に斬りふせ、それを目撃していたお房(淡島千景)に興味がひかれます。それから数日後、雨宿りしていた茶店でお房と偶然出会い、話を交わすのね。妹おしの(丘さとみ)と安造(田中春男)夫婦が噂していた土方とは異なる優しさに触れ、お房は土方に惹かれていきます。土方とお房の交情が続く中、土方は恋人おみね(北沢典子)と逢引していて見張りを怠った隊士・安藤和馬(里見浩太朗)を断罪したり、意見の食い違いから隊を脱走した山南敬助岡田英次)に切腹の裁定をするなど冷徹な対応。負傷した近藤勇月形龍之介)に代わりに新選組の指揮をとって鳥羽伏見の戦いに出陣することになり……
娯楽時代劇の松田定次がシリアスな時代劇に挑んでいますが、全体的に空回りが目立ち、まずい仕上がりです。脚本も、テレビ時代劇『新選組血風録』でキレのある脚本を書いた結束信二ですが、男女の情感が平板で深みがありません。流麗なアクション演出を得意とする松田定次が、「動」でなく、このような情感演出の「静」の世界では勝手が違ったようで〜す。