古典時代小説

nostalji2018-05-22

移動や待ち時間に読んでいた柴田錬三郎:著の『夜叉街道』(集英社文庫:1991年12月20日第1刷)を読了。表題作の他に、「乱れ白菊」が収録されています。
「夜叉街道」は、奥州・井沢藩の秘宝・百万両の在処を記す鬼女面の争奪戦です。鬼女面を持っているのは、父を殺された16歳の娘と、娘の父の家臣だった祖父を殺された13歳の少年。鬼女面を狙うのは黒柄組と名乗る無法武士集団に片腕の妖剣士、それに悪知恵の働く岡っ引きね。娘と少年を守って悪党と戦うのが謎の白覆面で、「白覆面の正体は」「鬼女面の秘密は」「百万両の隠し場所は」と、娯楽時代劇のエッセンスが詰め込まれています。児童小説なので、柴錬特有のエロチック描写はありませんが、全盛時の東映時代劇のような面白さがあります。
「乱れ白菊」は、無実で取り潰された大名の姫君を助けて活躍する“まだら頭巾”の物語。美貌の姫君、野心家の将軍側近、まだら頭巾と剣技を競う剣客、姫君に一目惚れしたオッチョコチョイのヤクザなどが織りなす娯楽時代劇です。『まだら頭巾剣を抜けば 乱れ白菊』の題名で映画化(1957年・松竹/監督:倉橋良介、主演:近衛十四郎)されていま〜す。