和製西部劇

nostalji2018-07-12

録画していた『網走番外地・吹雪の斗争』(1967年・東映/監督:石井輝男)を再見。石井輝男の“網走番外地”シリーズは全部で10作(他に“新網走番外地”シリーズが8作)あるのですが、これはシリーズ最終作です。
終戦直後の網走刑務所に橘(高倉健)が入所してきます。雑居房を支配するデカ虎(戸上城太郎)や蝮(菅原文太)に殺されかけた吉(石橋蓮司)を救い、デカ虎たちを叩きのめしたことから彼らの怨みをかうのね。看守の青鬼(関山耕司)と結託して事故に見せかけて橘を殺そうとしますが、逆に青鬼たち3人は大木の下敷きになって大ケガ。懲罰房に入れられた橘は、隣の房への抜け穴を発見し、橘の父と共にスパイにされた瀕死のロシア人に会います。橘の父は憲兵と結託した番頭の南海(中谷一郎)によってスパイにされ、拷問されて自殺。橘は拷問した憲兵を殺して服役していたんです。死んだロシア人の棺に入って脱獄した橘は、南海が支配するノシャップの町へ。ナイフ使いの轟(安藤昇)、ロープ使いのマサ(梅宮辰夫)、アイヌの混血タニー(谷隼人)、ならず者の辰(山本麟一)と知りあいます。橘の昔の恋人・雪子(宮園純子)は南海の妻になっており、轟たちは雪子のダイヤモンドを狙って南海の屋敷を襲いますが……
これまでとは時代設定が変えてあり、常連囚人のアラカン田中邦衛由利徹・安部徹などは登場せず、菅原文太東映移籍初出演。戸上城太郎の腰巾着のような役ですが、存在感あります。脱獄の後、健さんはガンマン姿で馬に乗ってノシャップの町に現れるんですな。梅宮辰夫に投げ縄で馬から落とされたり、安藤昇と投げナイフと拳銃の腕比べしたりと、西部劇タッチになります。馬での追撃シーンに流れる曲はマカロニ調。オルゴール付き懐中時計が重要な小道具として使われるのは『夕陽のガンマン』ね。石井作品に初出演した安藤昇が監督と諍いして途中で帰ったりして、全体としては粗っぽい内容になり、褒められたものではありませんが、西部劇らしい楽しさがありま〜す。