非情さ不足

nostalji2018-10-10

友人に送ってもらった東映時代劇『十七人の忍者・大血戦』(1966年/監督:鳥居元宏)を観る。紀州家の陰謀に加担する甲賀忍者と、陰謀を防ぐ伊賀忍者の戦いを描いた集団時代劇です。
伊賀忍者の新三郎(松方弘樹)は、甲賀忍者の頭領・甚左衛門(南原宏冶)の娘・結香(小川知子)と恋仲でしたが、甚左衛門が紀州大納言頼宣(近衛十四郎)の配下になったことから伊賀と甲賀は敵同士になります。頼宣は家光亡き後の将軍職を狙っていたのね。老中・松平伊豆守(大木実)は、伊賀忍者の頭領・服部半蔵(大友柳太朗)に紀州家が密かに集めた鉄砲・火薬の爆破を命じます。期日は諸大名が集まる御代替りの大評定の日までの10日間。鉄砲・火薬が田辺城に隠されていることをつきとめた伊賀忍者は、甲賀忍者が守る田辺城を攻撃しますが……
東映集団時代劇の先駆けとなった『十七人の忍者』が傑作だったので、ずいぶん見劣りがします。忍者の世界に“ロミオとジュリエット”を持ち込み、二人の仲を伊賀の頭領である大友柳太朗が認めており、そんな松方に甲賀攻めの小頭を任せるなんて普通あり得ないでしょう。甲賀には松方の実の父である嵐寛寿郎がいて小川知子に理解をしめします。その昔、嵐寛寿郎と恋仲になった伊賀の女性が生んだのが松方という血はあらそえない運命。こんな甘っちょろい話に重点をおくものだから、肝心の伊賀対甲賀の攻防がおざなりになっていて、何じゃコリャで〜す。