正月は寅さん

録画していた『男はつらいよ』(1969年/監督:山田洋二)を観る。記念すべきシリーズ第1作目です。フジテレビの連続ドラマでしたが、主人公の寅さんが沖縄でハブに噛まれて死んでしまい、ドラマは終了。渥美清扮する愛すべきキャラクターの死を惜しむ視聴者の声が数多く寄せられ、原作者だった山田洋二が、映画で復活させました。
物語は、寅さんが20年振りに故郷の葛飾柴又に帰って来るところから始まります。桜が満開で、それが妹さくらへの想いと重なるオープニング。今回再見して初めて気づきました。それと、きちんとネクタイ・ワイシャツ姿の上、革靴まで履いている寅さんて、これが最初で最後じゃないかなァ。
さくらの見合いをブチ壊し、おいちゃん(森川信)・おばちゃん(三崎千恵子)とケンカして旅に出るのがシリーズのパターンとなります。ちなみに、さくらの見合い相手は広川太一郎森川信は第8作『寅次郎恋歌』の後亡くなり、その後、松村達雄下條正巳と変遷。森川信のおいちゃんは、ほのぼのとした味わいで、私は好きでしたねェ。
奈良で、帝釈天の御前様(笠智衆)と幼馴染の御前様の娘・冬子(光本幸子)と出会った寅さんは、冬子に一目惚れ。柴又に帰ってきます。隣の印刷工場で働く諏訪博(前田吟)がさくらに惚れており、その真剣さに恋の橋渡し。もち前の早とちりで失敗するものの、瓢箪から駒で二人は結ばれます。結婚式の日に、迂遠だった博の父親(志村喬)が出席。仲違いしていた親子が寅さんの行動で、心の溝が埋まるというのはシリーズではよく出てくるパターンですが、この作品では唐突的です。冬子の優しさに片想いの寅さんでしたが、冬子が婚約者と一緒にいるところにショックを受けて、旅に出るというお決まりでエンド。消化不良のところが多々見られますが、シリーズの基本パターンは網羅していま~す。

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