チャンバラ時代劇ということで録画していた『斬、』(2018年/監督:塚本晋也)を観る。人を斬ることに葛藤する若い武士を描いた作品です。
江戸時代末期、浪人の杢之進(池松壮亮)は剣の腕はたつものの、農村で手伝いをして隣家のゆう(蒼井優)や、その弟・市助(前田隆成)と平穏に暮らしています。ある日、沢村(塚本晋也)という剣の達人が村に現れ、市助と剣術の稽古をしている杢之進を見て、浪士隊に勧誘。沢村は京都での動乱に参戦するために、江戸で募集している浪士隊に入隊しようと考えていたんですな。杢之進も迫りくる時代の変革を感じていて心が動かされます。市助も入隊には身分の差別はないと沢村に聞かされ、入隊を決意。しかし、村に源左衛門(中村達也)率いる野盗集団が現れ……
命を奪うことの惨酷さや不条理を描いた重苦しい作品。冒頭の1対1の決闘シーンなどにカメラワークの工夫がみられますが効果を出しているかは疑問。二人を同時に画面にみせず、木立の間を前にいったり後にいったりと、観ていて少しイライラします。斬りあいたくない主人公のせいで斬りあいが始まる不条理。殺陣はそれなりに緊迫感がありますが、カメラを揺らしすぎ。結局人を斬ってしまった主人公がどうなるかは、観客に委ねる形のラストです。塚本晋也の作風には、好き嫌いが分れるでしょうなァ。私は好きではありませ~ん。