サユリストじゃないが

録画していた『夢の女』(1993年/監督:坂東玉三郎)を観る。明治末期を舞台に、娼婦になった女を耽美的に描いた作品です。

明治の末期、浪子(吉永小百合)は奉公先の主人と関係を持って娘を産んだものの主人は他界。その娘を里子に出し、父親の借金や妹の学費のために遊郭に身を落としますが、仲居のお松(樹木希林)の助けもあって遊郭一の花魁・楓となります。里子に出していた娘を乳母のおさわ(佐々木すみえ)に預け、日々を過ごしていましたが、楓にいれあげていた客(永島敏行)が財産を食いつぶして自殺。男を破滅させる毒婦と呼ばれて世間から非難され、浪子は荒んだ生活を送るようになり、客足も遠のいていきますが……

永井荷風の小説を久保田万太郎が新派のために脚色した舞台用台本が原作なので、新派の舞台を見ているような感じです。モノクロ映像にしたことで、吉永小百合の今にも壊れそうな人間だけが持つ美しさと輝きが出てグッド。セリフや動作をスローテンポにして、明治という時代感を出そうとしていますね。このゆったり感を演出の妙とみるかどうかで評価が分かれま~す。

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