歌手でなくても

録画保存していた『クレイジー・ハート』(2009年/監督:スコット・クーパー)を再見。ビデオやDVDが普及し、21世紀になってからは映画館(シネコン)に行くことが少なくなったのですが、これはスクリーンで観た1本。

落ちぶれた初老のカントリー歌手が、子持ちの女性記者に恋をして、人生を前向きに生きようとする物語。かつては大スターだった57歳のカントリー歌手バッド(ジェフ・ブリッジス)は、今では各地のバーなどをドサ回りする毎日。4回の結婚はいずれも失敗し、酒を手放せません。ある日、幼い息子がいる地方新聞の女性記者ジーン(マギー・ギレンホール)がバッドを取材。二人は気が合い、愛しあうようになります。ジーンはバッドに酒を断つことを望みますが、バッドはそれができず、ジーンに去られ……

ジェフ・ブリッジスがアカデミー主演男優賞を獲った作品。ぼろワゴン車に乗ってやって来た西部の小さな町のボーリング場で往年のヒット曲を歌うところから、なかなか良いムードが漂っていて古き良きアメリカ映画を感じさせます。アル中を回復し、後輩の人気歌手(コリン・ファレル)のために新曲を提供し、別れた彼女と再会するラストまで、歌の魅力がたっぷりですね。ジェフ・ブリッジスは自然な演技だけでなく、歌も聴かせてくれますよ。コリン・ファレルの歌も上々です。カントリー音楽が好きなせいもあって、私はこの作品に大いに満足しました。共演者ではロバート・デュバルが特にいい味を出していま~す。