続編なので

録画していた『続・悪名』(1961年・大映/監督:田中徳三)を観る。今東光の原作による文芸任侠映画です。前作の公開から2ケ月半で封切られているので、最初からワンセットで制作されたようです。

因島から帰った朝吉(勝新太郎)は、妻のお絹(中村玉緒)と故郷の河内に戻って来ます。父親への挨拶だけですますつもりが、百姓仕事をする羽目に。モートルの貞(田宮二郎)が訪ねてきて、朝吉がヤクザということが知れ、家から追い出されます。朝吉が琴糸(水谷良重)を足抜きさせたことに松島組が吉岡(山茶花究)に因縁をつけ、半殺しにして縄張りを奪ったことを貞から聞いた朝吉は遊郭をしきる長五郎(山路義人)の家に殴り込み。松島組の元締(中村雁治郎)が朝吉を気に入り、長五郎に代わって朝吉に遊郭を任せます。貞の弟分・河太郎(南都雄二)と女房のチェリー(長谷川季子)が難波新地の源八(上田吉次郎)に騙されて働かされたことを知った朝吉と貞は源八の家に殴り込み。家を追い出された源八は新世界を仕切るカポネ(藤山浩二)のところへ逃げ込み、朝吉はカポネ一家と対立。松島組の元締は利用価値のなくなった朝吉に見切りをつけ、助っ人を断ります。朝吉が自分たちだけで戦う決意をした時に、朝吉に召集令状。朝吉は子分たちに正業につくように説きます。殴り込みをかけてきたカポネ一家を蹴散らしたものの、朝吉入隊の後、女房のお照(藤原礼子)と歩いていた貞がチンピラに刺されて死にます。

ラストシーンの前にあるこのシーンが最高にグッドです。刺された田宮が首をかしげ、何とも言えぬ憂いをもった眼差しで刺した男を見つめ、雨に濡れた舗装道路をポタリと血が真紅に染めます。田宮はそのまま、どさりと仰向けに倒れ、はかなく死ぬという空虚感。ヤクザという空しさが、田宮の名演技によって、映像だけで表現されています。アンハッピーな結末により、鮮烈な印象を与える作品となったので~す。