ヴィスコンティ関連で

録画したままだった『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1942年/監督:ルキノ・ヴィスコンティ)を観る。原作は米作家ジェームズ・M・ケインの小説。4度映画化されており、これは2度目の作品で、舞台をイタリアに変更。

北イタリアのポー川の食堂に風来坊のジーノ(マッシモ・ジロッティ)が現れ、食堂の妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)と関係を持ちます。ジーノとジョヴァンナは夫の留守中に駆け落ちを決意。しかしジョヴァンナは、放浪生活は無理と言って夫のもとへ戻ります。ジーノはジョヴァンナを忘れようとしますが、旅先の港町でジョヴァンナと再会。ジョヴァンナもジーノが忘れられず、二人で夫を自動車事故に見せかけて殺害。新しい生活を始めた二人でしたが、終始気まずい雰囲気が流れ、夫に多額の生命保険がかけられていたことを知ったジーノは、ジョヴァンナが自分を利用しただけではないかと疑い……

ヴィスコンティの監督デビュー作品ですが、原作者の承諾をとらないままに映画化したことから数日で上映禁止となり、長らく幻の作品となっていました。公開されたのはヴィスコンティの死後で、日本での公開は79年5月。

ヴィスコンティの演出は地方色を強くうち出し、リアリズムあふれる展開。クライムサスペンスとしての面白さはありませんが、愛欲から誠の愛に目覚める男女の姿を酷烈に浮かびあがらせていま~す。