懐かしの日活アクション

録画していた『俺たちの血が許さない』(1964年・日活/監督:鈴木清順)を観る。非情なやくざの世界に挑む兄弟の力強い意気と愛情を描いたアクション映画。

ヤクザの縄張り争いで父が死に、良太(小林旭)と慎次(高橋英樹)は母(細川ちか子)の手ひとつで育ちます。良太はキャバレーの支配人で親孝行な青年、慎次はサラリーマンで明るい青年。しかし、慎次は会社の慰安旅行でヤクザと喧嘩をし、会社を馘になります。良太を訪ねた慎次は、良太が難波田小沢栄太郎)という会長の下で働くヤクザと知り……

兄弟の父を殺した古いタイプの侠客を演じていた井上昭文の全身刺青スタイルに清順らしさを感じましたが、全体としては清順独特の色彩美学は出ておらず、映像で見せる清順の作品としては今イチ。アキラの恋人役の松原智恵子が、これまでにない陰のある女に挑んでいましたが演技力不足。高橋英樹の恋人役の長谷百合は、テレビコメディ『スチャラカ社員』で人気が出て映画界入りしましたが、大画面では魅力不足でしたね。アキラの陰とヒデキの陽が、うまくかみ合わなかった作品で~す。