何故か未公開

西部劇パーフェクトコレクション『荒野の流れ者』に収録されていた「荒馬スモーキー」(1946年/監督:ルイス・キング)を観る。野生馬とカウボーイの友情を描いた作品。

クリント(フレッド・マクマレイ)は、カウボーイたちが追っている野生馬の中にひときわ目立つ黒馬を目撃。黒馬は追手から逃れますが、クリントの巧みな誘導でジュリー(アン・バクスター)の牧場へ誘い込まれます。ジュリーに雇われたクリントは、黒馬をスモーキーと名付け、調教を開始。牧童頭のジェフ(ロイ・ロバーツ)は素性を語らないクリントを怪しみますが、ジュリーだけでなく祖母(エスター・デール)もクリントの人柄を信頼。クリントはウィリー(バール・アイブス)たちカウボーイ仲間とも親しくなり、平穏な生活をしているところへクリントの過去を知るフランク(ブルース・キャボット)が現れます。フランクはクリントに頼んでジュリーの牧場で働くことになりますが、フランクはクリントの不肖の弟で、これまでもクリントはフランクの尻ぬぐいばかり。町へ遊びに出たフランクは賭博で負け、クリントの名をかたって借金をしたことからクリントはフランクを殴り飛ばします。逆恨みをしたフランクは、牧場の牛を盗み、スモーキーを連れ去りますが、スモーキーはフランクを蹴殺して逃走。やがて、スモーキーは“世界一の荒馬グガー”と呼ばれるロデオの人気馬になりますが……

単純素朴な物語ですが、足を痛めて廃品業者の車をひく馬になっていたスモーキーとクリントとの再会シーンには思わず涙腺が緩みました。スモーキー役の名馬ハイランドデールの映画初出演作ですが調教師が良いのか名演技を見せてくれます。その後、映画やテレビ(『スーパー・ヒューリー』では主演)などで名馬ぶりを見せ、この作品をリメイクした1966年の『荒野のスモーキー』が最後の作品となりました。

『大いなる西部』で名優ぶりを見せたバール・アイブスですが、この作品の頃は本職のカントリー歌手として劇中でたっぷり歌を聴かせてくれます。フレッド・マクマレイにアン・バクスターと役者も揃っており、未公開になったのが不思議なくらいのグッドな作品で~す。