懐かしの戦争アクション

録画保存していた『独立愚連隊』(1959年・東宝/監督:岡本喜八)を再見。

終戦近い北支戦線、うさんくさい従軍記者・荒木(佐藤允)が、各隊のクズ兵ばかり集められた独立愚連隊と呼ばれている警備隊の取材に大隊本部ある将軍廟へやってきます。大隊長三船敏郎)は数ヶ月前に城壁から落ちて頭がパーになっており、部隊の実権は嫌味で尊大でキザな副官の藤岡中尉(中丸忠雄)が掌握。「敵襲!」と日がな一日叫んでいる頭のイカレタ三船が笑えます。

荒木は慰安婦をしている昔の恋人トミ(雪村いづみ)と再会しますが、何故か冷たい態度。敵軍エリアで警備をしている独立愚連隊の駐屯地に向かう途中で、馬賊のヤン(鶴田浩二)と知りあいます。

荒木の目的は、駐屯地で起こった見習士官と中国人慰安婦の心中事件の真相究明。荒木は死んだ見習士官の兄だったのね。心中現場を調査して荒木は弟が殺されたことを確信。事件の時に現場にいたのは、藤岡中尉と独立愚連隊の連中。最初は、隊長の石井軍曹(中谷一郎)を疑いますが、墓参りをしている時にヤンの妹(上原美佐)から死んだ中国人慰安婦が持っていた弟が残した書付を見せられ、藤岡中尉が公金を横領している事実をつかみます。荒木を追って駐屯地にやってきたトミと一緒に将軍廟に帰る途中、乗っていたトラックを八路軍が攻撃。トミが弾丸にあたって死にます。将軍廟の大隊は撤退中で、金塊を持って逃げようとしていた藤岡中尉を射殺。八路軍の大軍が将軍廟に迫っている中、独立愚連隊が警備の命令を受けて将軍廟にやってきますが……

三船敏郎大隊長を怪演する将軍廟での出来事から始まり、独立愚連隊の個性的な連中とのやりとり、真相を究明した後の八路軍との壮絶な戦いまで、ユーモアを交えてテンポよく展開していきます。ジメッとしたものになりやすい戦争アクションを、カラッとした娯楽映画にした喜八監督の手並みの良さには何度観ても感心させられます。

この作品の魅力のひとつに佐藤允の存在がありますね。あの役を加山雄三夏木陽介といった二枚目スターが演じたら、妙に真面目なものになって面白さが出なかったでしょうね。雪村いずみとの絡みなども湿っぽくなったりしてね。この作品で、悪役顔の佐藤允を和製リチャード・ウィドマークとして売り出そうとした東宝のピッタリ狙い通りとなりました。