週に一度は西部劇

録画保存していた『大いなる西部』(1958年/監督:ウィリアム・ワイラー)を再見。力の正義で築かれた西部が、平和思想によって崩され、新しい西部に移っていくという西部讃歌を描いています。

大原野を行く駅馬車のロングと車輪のアップ、バックに流れる壮大なテーマ曲。オープニングだけで、原題の“The Big Country”を感じることができます。その駅馬車から東部からやって来た海の男ジム・マッケイ(グレゴリー・ペック)が降り立ち、物語が開始。目的は、大牧場主テリル(チャールズ・ビッグフォード)の娘パット(キャロル・ベイカー)との結婚。テリルは近くのヘネシー(バール・アイブス)と犬猿の仲で、女教師ジュリー(ジーン・シモンズ)の持つマラゴン牧場をめぐって対立しています。テリル家の牧童頭スティーブ(チャールトン・ヘストン)はパットを愛しており、東部からきた優男ジムに反感。ジムとスティーブは早朝に殴りあうんですが、西部劇における殴りあいの中で五本の指に入りますな。

ジムはテリルとヘネシーの悪縁を収めるためにジュリーの牧場を買います。ジムは仲介者として話し合いによる解決を図ろうとするんですが、パットはヘネシーと戦おうとしないジムに失望。一方、ジムはジュリーと話し合っているうちに愛しあうようになります。ヘネシーの粗暴な息子バック(チャック・コナーズ)はジュリーに惚れており、強引に結婚しようとジュリーを拉致。クライマックスは、ジムとバックの決闘、卑怯なバックを撃ち殺す親父のヘネシー、そしてヘネシー対テリルの峡谷における1対1の対決へと進みます。

全編を通じてロングショットで映し出される映像は、雄大な西部をあますことなく伝え、ダイナミズムに満ちあふれた傑作西部劇といえま~す。

サウンドトラックと思ってゲットしたCDでしたが、トニー・ブレムナー指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏。でも、劇中で使われた曲は全て網羅されています。メインテーマは一度聴いたら忘れることができないほどのダイナミックなもので、映画音楽の枠を越えた洋盤のヒット曲となりましたね。他にも、「ビッグ・マディ」と題されたストリングスの美しいメロディは、劇中で何度も使用され、印象的なものになっています。

ジェローム・モロスは『大いなる西部』で映画音楽作曲家として知られましたが、手がけた映画音楽って少ないですね。他には、『誇り高き反逆者』、『枢機卿』、『大将軍』、『レイチェルレイチェル』があるくらいです。平凡な多作よりも、一発大ヒットの方が名を残すという見本ですな。