新作時代劇なので

録画していた『仕掛人・藤枝梅安』(2023年/監督:河毛俊作)を観る。池波正太郎生誕百年を記念して作られた二部作の第一部。

江戸郊外に住む藤枝梅安豊川悦司)は腕の良い鍼医者ですが、裏家業は暗殺を行う仕掛人。そのことを知るのは、親友の仕掛人・彦次郎(片岡愛之助)と彼らに仕掛を頼む元締め。元締めの羽沢の喜兵衛(柳葉敏郎)から料亭の女将おみの(天海優希)の暗殺を頼まれます。同じ頃、彦次郎はおみのを強請っている元盗賊の為吉(六角精児)の暗殺を元締め・田中屋久兵衛(大鷹明義)から頼まれ為吉を尾行。料亭で梅安を目撃し、梅安がおみのに係わっていることを知ります。為吉暗殺に成功した彦次郎に田中屋は浪人・石川友五郎(早乙女太一)の暗殺を依頼。梅安はサディスティックな色キチガイの大身旗本・嶋田大学(板尾創路)から石川が救い出した娘の治療をしており、“世のため人のためにならない人物を殺す”という仕掛人の掟を田中屋が破っていることを彦次郎に知らせます。おみのと田中屋は嶋田を後ろ盾にして女を食いものにして稼いでおり……

豊川悦司藤枝梅安は笑うことのない徹底的にニヒルなキャラ。これはこれでグッド。感情を顔に出す片岡愛之助の彦次郎とバランスがとれています。彦次郎の武器が毒吹き矢というのも新鮮。相手に命中しても毒が身体に回るまで時間がかかるというところにスリルが生まれています。だけど、脚本は今イチ。オープニングで梅安が殺す相手(石丸謙二郎)も色キチガイで、本編の黒幕も色キチガイというのは芸がありません。梅安とおもん(菅野美穂)の関係も情感不足。人間ドラマに力点をおくのか、アクションに力点をおくのか中途半端になった感じで~す。