週に一度は西部劇

DVDで『血ぬられし欲情』(1952年/監督:ゴードン・ダグラス)を再見。アラモの戦いに参加する前のジム・ボウイの活躍を描いた作品です。

木材を売りにニューオリンズにきたジム・ボウイ(アラン・ラッド)は、ジュダロン(ヴァージニア・メイヨ)の肖像画を見て、一目で惹かれます。ジュダロンの兄ナルシス(ダグラス・ディック)と親友になりますが、彼の他にもジュダロンに想いを寄せている男が3人もいるんですな。ジムにフェンシングの決闘を挑んだアンリ(ネッド・ヤング)に対して、ナルシスが代わりに受けて立ち、ナルシスは倒されます。ジムはナイフでアンリに挑み、ナルシスの仇を討つんです。暗闇の部屋において、洋剣に対して接近戦で勝利するというのが一興です。

ジムはジュダロンと結婚するには財産が必要と、競馬で恋敵のモレノ(ジョゼフ・カレイア)の馬に勝ち、襲ってきたモレノを逆に殺します。しかし、ジュダロンは恋敵のフィリップ(アルフ・ケジェリン)と既に結婚済み。だけど、ジュダロンはジムに色目をつかってくるんですよ。いかさまで負けたフィリップの金を、賭場のスタードヴァント(トニー・カルーソ)とのナイフの決闘で勝って取り返しますが、スタードヴァントの手下に襲われて深手を負います。互いの手首をヒモで縛って決闘というのが、これまた一興。

ジムを助けたのがテキサス・サンアントニオの副司令官の娘ユルスラ(フィリス・カーク)で、ジムとユルスラは愛しあうようになります。ジムはルイジアナの土地を清算して、テキサスへの移住を決めますが、ジムに怨みを持つスタードヴァントとジュダロンのために身を持ちくずしたフィリップがジムの命を狙い……

拳銃やライフルの代わりにボウイナイフを使って死闘を行うのが見せ場。決闘につぐ決闘のストーリー展開は退屈しません。ゴードン・ダグラスは一流とはいえませんが、手がたくまとめて満足できるアクション映画にしています。ヴァージニア・メイヨの悪女ぶりは今イチ。フィリス・カークは魅力なし。

原題は『The Iron Mistress』で、彼が愛用したボウイナイフのこと。Mistressは女主人とか情婦という単語ですが、邦訳すれば“刃金の恋人”か。隕石の成分を鋼に混ぜて鍛えあげられたナイフは、これまで見たボウイナイフの中で最高に美しかったです。ヴァージニア・メイヨを巡って決闘が行われるので、Mistressをヴァージニア・メイヨと勘違いしたのか、『血ぬられし欲情』とはね。この作品は、『八人の男を殺した女』という題名でも公開されていて、リバイバル上映の時に題名が変更になる例はありますが、同時期に変更されたのは不思議で~す。