DVDでマカロニ西部劇『西部悪人伝』(1970年/監督:フランク・クレーマー)を再見。“サバタ”シリーズと呼ばれている第1作目。
夜の闇にまぎれて強盗団が、軍隊が預けた10万ドルの金を狙って金庫ごと奪取。瀕死の警備兵が酒場へころがり込み、銀行強盗に襲われたことを告げます。一足早く強盗団追跡の行動を起こしていたのがサバタ(リー・ヴァン・クリーフ)という謎の男。長射程銃身を装着したライフルで強盗団を撃ち倒し、死体と金庫を持って町に帰ってきます。これを見て驚いたのが、町の有力者である大富豪ステンゲル男爵(フランコ・レッセル)・酒場主人のファーガソン・オハラ判事(ジャンニ・リッツォ)の三人。警備隊長から5千ドルの謝礼をもらったサバタは、飲んだくれのカリンチャ(ペドロ・サンチェス)と身の軽いインディオを仲間にして、強盗事件の黒幕が証拠隠滅を図るステンゲルであることをつきとめます。サバタはステンゲルを脅し、ステンゲル一味が殺し屋をさしむけてくるたびに口止め料をアップ。サバタとステンゲルの戦いを見まもっていた謎の男バンジョー(ウィリアム・バーガー)がオハラ判事に雇われ、サバタと対決することになりますが……
冒頭で大金庫を強盗団が襲うのですが、一味の身軽な奴が(強盗団はサーカスの一座)が2階から侵入して警備兵を倒し、金庫室の鉄格子をロープで結んで数頭の馬で引き倒します。そしてレールを敷き、馬力で金庫をひっぱり出すという手際は、ずさんなマカロニ強盗にしては珍しく手のこんだもの。逃げる一味をクリーフが高性能ライフルで撃ち殺し、金庫を取り返すところから後は撃ちあい、また撃ちあいの連続です。出てくる銃器が、銃身を変えることができるライフルや7連デリンジャー(4連+銃杷の中に3連)、バンジョーガンなどマカロニらしい発想。軽快なテーマ曲もグッド。
残虐なリンチや凄惨な殺し、陰惨なムードはありませんが、アメリカ西部劇にないナンセンスな面白さがあります。マカロニ特有の粘着的体質部分を好む人とは評価が分かれるでしょうが、私のような撃ちあい中心派は新手が出るだけで嬉しくなるので~す。