録画保存していた『ロイ・ビーン』(1972年/監督:ジョン・ヒューストン)を再見。西部史の有名男“殺し屋判事”ロイ・ビーンの物語。
法律も正義もなく、暴力と無秩序が支配するテキサス州ペコス川西岸地域にロイ・ビーン(ポール・ニューマン)がやってきます。酒場で悪党たちに金を奪われ、荒れ地に放りだされます。マリー(ヴィクトリア・プリンシパル)というメキシコ女性から拳銃を受け取ると、娼婦たちと寝込んでいる悪党たちを皆殺し。旅の途中の巡回牧師(アンソニー・パーキンス)と悪党たちを埋葬すると、判事を名乗って酒場に住み込みます。改造した酒場は法廷を兼ね、壁にはお気に入りの女優リリー・ラングトリー(エヴァ・ガードナー)のポスターを張り付け、5人の助手を保安官として雇い入れ、悪党たちを逮捕。判決は常に絞首刑で、“殺し屋判事”の異名をとります。町は栄えはじめ、ロイ・ビーンを狙う殺し屋バッド・ボブ(ステイシー・キーチ)が現れて決闘を挑みますが、ロイ・ビーンは容赦なく後ろから射殺。一緒に暮らしているマリーと散策している時、通りすがりの山男(ジョン・ヒューストン)から熊をもらいます。アンディ・ウィリアムズが歌う主題歌「小さな愛のワルツ」が流れ、熊と遊ぶお伽噺的なシーンでもって前半が終了。
ある日、ガス(ロディ・マクドウォール)という弁護士が町にやってきて、ビーンが土地を不法占拠していると抗議。ビーンは取りあわず、ガスは町に住みつきます。ガスは何かとビーンを敵視。マリーが妊娠し、リリー・ラングトリーが西部巡業でサン・アントニオにやってくろことがわかります。ビーンは身重のマリーに励まされてリリーに会いに行きますが切符は売り切れ。楽屋に入れてやるという男(アンソニー・ザーブ)に騙され金を奪われます。ビーンがむなしく町へ戻ると、マリーは出産をしたものの瀕死の重傷。医者は吞んだくれていて間に合わず、マリーは死にます。怒り狂ったビーンは医者を絞首台に運びますが、ビーンの留守中に町長になったガスが、勝手な判決は認めないとビーンに告知。ビーンは馬に飛び乗ると、町を出ていきます。
20年後、ビーンとマリーの娘ローズ(ジャクリーン・ビセット)は、酒場のバーテンだったテクター(ネッド・ビーティ)に育てられ、美しく成長。一方、ガスは石油王となり、町の独裁者となってローズとテクターを追い出そうとしています。そこに現れたのがロイ・ビーンで、かつての仲間たちと町中に火を放ち、ガスを倒すんです。焼け落ちた町はビーンが初めて現れた当時の寂れた町に戻り、ビーンは姿を消し……
全体的にファンタジックな展開で、特にガスの油田をめちゃくちゃにするクライマックスは伝説的ムードでグッド。リリー・ラングトリーがビーンの昔の家(酒場)に立ち寄り、遺品を見るエピローグ的ラストも情感があってグッドです。ポール・ニューマンは、ビリー・ザ・キッド、ブッチ・キャシディ、バッファロー・ビル、そしてこの作品のロイ・ビーンと西部劇の実在人物を演じた回数では彼が一番多いのじゃないですかね。