たまには読書

姜在彦:著の『朝鮮半島史』(角川ソフィア文庫:2021年3月25日初版発行)を読了。建国神話から日韓併合までの韓国の歴史を解説。初心者向けとなっていますが、政治に多大な影響を及ぼした思想を中心に述べており、結構専門的な内容になっています。英雄よりも儒学者中心ね。

現在まで続いている偏ったイデオロギーは、三韓統一した新羅から始まっていると思われます。朝鮮独自の文化を捨て、唐の文化・思想をそのまま受け入れたことによるものですな。日本のように取捨選択していないんですよ。新羅の後の高麗も同じね。仏教思想を取り入れたものの、儒教の影響も大きいものになっています。朝鮮王朝は儒教一辺倒。権力抗争は儒教の内部抗争なんですな。現在に至っても実務的なことは軽んじられ、偏狭的な儒教に国が支配されていま~す。

 

週に一度は西部劇

DVDで『街中の拳銃に狙われる男』(1955年/監督:リチャード・ウィルスン)を観る。雇われ保安官が町を支配する男たちと戦う西部劇です。

シェリダンの町に“掃除屋”と呼ばれている町から町へ仕事を請け負って歩く凄腕の雇われ保安官・クリント・トリンジャー(ロバート・ミッチャム)がやってきます。彼の目的は3年前に娘を連れて去った妻のネリー(ジャン・スターリング)に会うため。シェリダンの町はデイド・ホールマン一味が支配しており、町議会のアトキンス(エミール・メイヤー)は娘ステラ(カレン・シャープ)の結婚相手ジェフ(ジョン・ラプトン)が一味に傷を負わされたことからトリンジャーを雇います。トリンジャーのやり方は手荒で……

“Town Tamer”を“掃除屋”と訳していましたが、「ゆく先々の町で保安官に任命され、相当な報酬で無法者を片づけ、治安が回復するとまた他の町に行って雇われる」という稼業のようで、『ワーロック』のヘンリー・フォンダもこれにあたるのかな。最終的には町の住民に嫌われる存在。ロバート・ミッチャムはやたらとカッコつけすぎ。危険な稼業で、妻もそれを嫌がって去っていったのですが、“掃除屋”の人生というものが、あまり表現されておらず、平凡な悪漢退治作品に終わっています。売れる前のアンジー・ディキンソンが酒場の踊り子役で出演しているので、一見の価値ありで~す。

 

最後が最初

録画していた『るろうに剣心 最終章The Beginning』(2021年/監督:大友啓史)を観る。シリーズ5作目で完結編2部作の第2部です。

時は幕末、剣心(佐藤健)は桂小五郎高橋一生)の許で“人斬り抜刀斎”と呼ばれる凄腕の殺し屋として暗殺稼業をしています。ある日、巴(有村架純)という女性を救ったことから、巴は剣心が寝泊まりしている倒幕派の旅館で働き、やがて惹かれあう仲に。池田屋事件禁門の変長州藩は劣勢になり、剣心は巴を連れて都から離れた山里の農家で暮らし始めますが……

人を斬ることの正義に迷い、本当の幸せを見出していくというシリアスな内容で、このシリーズの持ち味であったマンガ的面白さがなくなっています。そして、マンガ的チャンバラアクションを極力抑えたせいか、中途半端なものになりましたね。ラスボスである北村一輝の一味を強力にして、倒幕派を殺しまくる暗殺集団との対決という図式を明確にしてほしかったで~す。

 

シリーズだったので

録画していた『るろうに剣心 最終章The Final』(2021年/監督:大友啓史)を観る。西南戦争終結後の明治時代を舞台にしたシリーズ4作目で完結編2部作の第1部です。

上海裏社会を支配する雪代縁(新田真剣佑)は、姉の巴(有村架純)を斬殺した剣心(佐藤健)と明治政府に復讐するために日本へ帰ってきます。縁は剣心と明治政府に恨みを持つ者たちを配下にし、剣心に関わる人たちを襲撃。責任を感じた剣心は、薫(武井咲)や左之助青木崇高)たち仲間に自分の過去を話します。かつては“人斬り抜刀斎”だった剣心は巴と愛しあう仲になり、“人斬り”から足を洗いますが、巴を斬らざるを得ない事態となり……

谷垣健治のアクション演出は新時代を築いた感じですね。半端じゃなく凄いです。マンガ的面白さね。チャンバラの殺陣とは別物で、チャンバラ映画好きには違和感があるでしょう。

前3作で登場した人物も賑々しく顔を揃え、最終章にふさわしいものになっていますが、物語に深みはありませ~ん。

 

カンフーアクション期待で

録画していた『レジェンド・オブ・カンフー 太極拳』(2020年/監督:グオ・ユーロン)を観る。太極拳創始者とされる張三宝の活躍を描くファンタジー・アクションです。

元朝末期の中国、悪の集団・修羅幕が天下統一のために無敵のパワーを得られる秘伝書を狙って張三宝(リュー・イーチャン)をおびきよせます。秘伝書をめぐる戦いが繰り返されるわけですが、CGとワイヤーアクションの連続で、本格的なカンフーアクションを期待していたのにそれはなし。北斗の拳みたいに“太極奥義!究極拳法”と叫びながら、目にもとまらぬ速さで拳を、秘伝書を奪った敵ボスに叩き込むのですが、凄さよりも可笑しさを感じましたよ。安手の中国B級作品で~す。

 

原作は有名だが

録画していた『ドクター・ドリトル』(2020年/監督:スティーヴン・ギャガン)を観る。児童文学『ドリトル先生』を原作にした冒険ファンタジー映画です。

誤ってリスを撃ってしまったトミー少年(ハリー・コレット)は、リスを治療してもらうために動物と話しができる名医ドリトル(ロバート・ダウニー・ジュニア)を訪ねます。しかし、ドリトルは妻を亡くした悲しみから無気力状態。そんな中、女王の使いローズ(カーメル・ラニアード)が病気になった女王の治療の依頼にきます。オウムのポリネシアの忠告で、ドリトルはリスを治療し、女王の治療のために宮殿へ。女王は毒を飲まされたことがわかり、ドリトルはドリトルを慕うトミー少年や動物たちと解毒剤のある島に向けて旅立ちますが……

金をかけているだけあって動物たちのCG映像が素晴らしいです。それだけで一見の価値はありますが、物語は端折り過ぎ。原作が児童文学なので、映画も児童向け。親子で観る作品で~す。

 

ドイツ映画だったので

録画していた『スカイ・シャーク』(2020年/監督:マルク・フェーゼ)を観る。ゾンビ軍団が空飛ぶサメを操るトンデモ・アクション映画です。

北極海ナチスの巨大戦艦がひそかに活動を続けており、遺伝子改造された不死身のゾンビ兵と、人食いサメをジェット戦闘機に改造した秘密兵器を開発。手始めにフランクフルト行きの旅客機を襲撃。かつてナチスの科学者としてそれらの秘密兵器開発に関わったクラウス(トーマス・モリス)は、第三帝国復活の野望を阻止するために、娘のディアブラ(エヴァ・ハーバーマン)とアンジェリークバルバラ・ネデルヤコーヴァ)と共に立ち上がりますが……

ナチス+ゾンビ+サメ+スプラッター+ちょいエロと、ハリウッドのC級映画素材を全て盛り込んだドイツ製C級映画。パロディ映画のつもりかも知れませんが、大笑いするところまではいかず、やっぱりC級。ドイツ映画らしく、主人公が何かにつけて理屈をこね、説明をしてくれま~す。