アラカン天皇

nostalji2005-08-18

録画していた『明治天皇と日露大戦争』(1957年・新東宝/監督:渡辺邦男)を観る。平和主義者で国民おもいの明治天皇をアラカンが威厳を持って演じています。明治天皇のリッパさと、精神主義が前面に出て、日露戦争における戦略・戦術面は描かれていませんね。そのため、二〇三高地の激戦も根性で勝ち取った感じになっています。児玉源太郎の出番がないんですよ。日本海海戦も、それなりに迫力は出しているものの、軍艦の模型が少ないせいかアップばかりで全体の動きがよくわかりません。それにしても、終戦から12年経過しているといっても、こんなナショナリズム丸出しの映画を作ったことに驚きを感じますね。当時の大多数の日本人が心の中で思っていても口に出して言えないことを、この映画が具現化したと云われています。映画は大ヒットし、傾きかけていた新東宝の経営を少し持ち直しました。ところで、この作品は新東宝が開発したシネパノラミックス方式によるワイド映画の第一作目でしたが、配給先にはワイドスクリーンのない上映館があり、スタンダード・サイズでも撮影されていました。今回“チャンネルNECO”で放映されたのはスタンダード版でした。画像は嵐寛寿郎明治天皇