隠れた名作時代劇

nostalji2005-10-12

録画していた『紅蓮菩薩』と『下郎の首』を観る。『紅蓮菩薩』(1949年・大映/監督:森一生)は、町火消し市川右太衛門)と大名火消し(月形龍之介)の対立を描いた時代劇。GHQによりチャンバラが禁止されていた頃の作品なので、斬りあいはなく死人も出ません。ラストも、ご都合主義ですが、これ以外の結末は考えられないでしょうね。民門敏雄の原作を伊藤大輔が脚色。火災シーンの特撮は円谷英二です。
『下郎の首』(1955年・新東宝/監督:伊藤大輔)は、同監督のサイレント時代の作品『下郎』の再映画化。信頼していた者に裏切られる絶望と悲しみを鮮烈に描いた隠れた名作です。魂から湧き出るような悲痛な表情を見せる田崎潤の演技は最高ですね。傍役もピッタリ嵌っています。病弱で気の弱い主人の片山明彦、偽いざりの卑屈さを見事に演じていた三井弘次、ワンシーンにしか登場しない丹波哲郎や高堂国典も良い味を出していました。画像は、『下郎の首』の田崎潤と嵯峨三智子。